台湾のカジノ構想が風雲急を告げている件--BLOGOS

  • 2013-10-11
木曽崇2013年10月10日 10:49
2017年開業を目指して準備を進めていた台湾の離島カジノですが、どうも状況が一変しそうなニュースが報じられています。
Taiwan plans to set up gaming zone in Taoyuan Airport
(台湾、桃園空港にギャンブル区域の設置を検討)
http://www.aastocks.com/en/news/HK6/NOW.568491/Count3.html
Taiwanese Economic Daily News cited Yeh Kuang-shih, Minister of Transportation and Communications, that Taiwan government is studying the feasibility of establishing a gaming zone in Taoyuan Airport, aiming to attract international customers. He hoped the proposal will be supported, and he promised to grant financial aids to subsidy the construction of the airport on Matsu Islands.
(台湾の経済日報は、Yeh Kuang-shih運輸通信大臣による「台湾政府は、国際顧客を誘致するために桃園空港にギャンブル区域を設立する実現性調査を行なっている」とする発言を報じた。大臣は、この計画が、馬祖島における空港建設の財政的な支援となり、また議会の支持を得ることを望むとしている。)
2012年の住民投票によって台湾の離島地域である馬祖島へのカジノ開設が決定した台湾。但し、馬祖島は台湾本島からは非常にアクセスが悪く、台湾カジノが真の意味で国際競争力を持つのは台湾本島でのカジノ開業が認められてからと考えられてきました。また、目下2017年の開業を目指して馬祖島で準備が進められているわけで、恐らく台湾本島でのカジノ開設検討は馬祖島での開発が終わった後となるであろうというのが、カジノ業界内での大筋の見方となっていました。それが一転、馬祖島でのカジノ開業を待たずに政府が台湾本島でのカジノ導入検討を始めたというのが上記報道です。
どうも私が聞き及んでいるところによると、今回の風雲急を告げる方針の発表は2017年の馬祖島でのカジノ開業に対して、中国本土側が反意を示したというのが事の発端とのこと。馬祖島は、台湾本島からのアクセスは非常に悪いのですが、中国本土福建省からは非常にアクセスが良く、フェリーで30分ばかりの立地。その顧客の中心は福建省居住のローカル顧客になると考えられてきたのですが、それが中国共産党政権の不快感を招いたそうです。
結果、「中国本土以外からも顧客を集める必要がある」→「でも、馬祖島には現在マトモな空港がない。それを建設する資金もない」→「なら台湾本土側にもカジノを設置し、その税収をもって財政支援しよう」という流れで、今回の桃園空港へのカジノ設置検討が持ち上がってきた模様です。
現在、極東アジア圏では日本と韓国が、この地域内で初となる本格的な統合型リゾート(カジノを含んだ複合観光施設)の導入を目指して動いており、この両国のうちどちらが先にそれを実現するかが世界から注目されてきたところ。しかし、台湾が本島においてカジノ導入を実現するとなれば、そこに新たなプレイヤーが誕生するわけで、ひょっとすると極東アジア圏の統合型リゾート導入競争はこれから日本、韓国、台湾の三つ巴の争いになるかもしれません。
我々としては、注視してゆかなければならない状況です。